AI翻訳の大きな特徴は、短時間で自然な訳文を作れることです。一方で、自然に読めることと、原文の意味を正しく反映していることは同じではありません。人が読んで違和感のない文でも、条件、否定、数量、専門用語、固有名詞が変わっている場合があります。
特に社外提出資料、製品マニュアル、SDS、仕様書、契約関連文書では、「だいたい意味が通じる」では不十分です。読み手がその訳文をもとに判断・操作・提出するため、原文と訳文を照合した確認が必要になります。
基本チェック
- 原文のすべての段落・箇条書きが訳されているか
- AIが原文にない説明を足していないか
- 否定文、条件文、例外条件の意味が変わっていないか
- 社名、製品名、人名、地名、型番が正しいか
- 訳文の文体が用途に合っているか
技術文書で確認したい項目
同じ用語が同じ訳語で使われているかを確認します。AIは文脈ごとに自然な訳語を選ぶため、ページごとに揺れることがあります。
温度、圧力、寸法、濃度、時間、電圧などは、文字よりもミスの影響が大きい箇所です。小数点、範囲、以上・以下も確認します。
画面上のボタン名、メニュー名、図番号、表番号と本文が一致しているかを見ます。
旧版訳文とAI訳文が混在する場合、用語と文体が不自然に変わっていないか確認します。
安全表現は弱めない
「必ず」「禁止」「〜しないでください」「〜するおそれがあります」などの表現は、AI翻訳で柔らかくなることがあります。安全に関わる文章では、読みやすさよりも、原文が持つ強さと条件を保つことを優先します。
機密情報とAI利用の確認
社内規定や顧客契約により、外部AIサービスへ原稿を入力できない場合があります。AI翻訳を使う前に、対象文書がAI利用可能か、機密保持条件に違反しないかを確認してください。許可がない場合は、人手翻訳・人手校正を選ぶほうが安全です。
確認レベルの選び方
- 社内で概要を把握するだけなら、重大な誤訳と数字を中心に見るライトチェック。
- 顧客提出や公開資料なら、原文照合・用語統一・文体調整を含むフルチェック。
- AI訳文の品質が低い場合は、ポストエディットより人手翻訳へ切り替える。