技術翻訳では、訳語の自然さだけでなく、一貫性が重要です。製品名、部品名、機能名、UI表示、警告表現が文書ごとに変わると、読者は同じものを指しているのか判断しにくくなります。
用語集の役割
用語集は翻訳者のためだけの資料ではありません。社内レビュー担当者、海外代理店、工場担当者、顧客サポート担当者が同じ言葉で製品を説明するための基準になります。AI翻訳を使う場合でも、用語集があれば、AI訳文の揺れを人が確認しやすくなります。
Excelに入れるとよい項目
原文に出てくる製品名、部品名、機能名、工程名、画面名を入れます。
簡体字・繁体字・英語など、使用する訳語を指定します。
使ってほしくない訳語、過去に問題になった訳語、競合表現を記録します。
マニュアル、UI、カタログ、SDS、ラベルなど、使われる場所を書きます。
正式名称、略称、読み方、対象地域、社内ルールを補足します。
未確認、社内確認済み、顧客指定などの状態を分けます。
記入例
たとえば「電源ボタン」は、UIでは短く「电源」、本文では「电源按钮」とする方針があり得ます。「安全カバー」は「安全罩」と訳すのか「防护罩」と訳すのかで、製品や業界の慣用表現が変わります。こうした判断を用語集に残すことで、改訂時の再確認を減らせます。
最初から1000語の用語集を作る必要はありません。まずは製品名、部品名、UI、警告見出し、単位、禁止訳語の30〜50語から始めるのが現実的です。
避けたい作り方
- 一般辞書から機械的に訳語を集める
- 対象地域を決めずに中国語訳だけを書く
- 旧版訳文と新規訳語のどちらを優先するか決めない
- UI表示とマニュアル本文を別々に管理する
- 禁止訳語や顧客指定表現を記録しない
翻訳会社への渡し方
翻訳依頼時には、用語集だけでなく、過去の中国語マニュアル、製品カタログ、UI画面、SDS、社内レビューコメントも一緒に共有すると、訳語判断の精度が上がります。用語集が未整備の場合は、翻訳作業の中で候補を抽出し、次回以降の基準として育てる方法もあります。